子供の頃住んでいた横浜のアパートの,コンクリートブロックの内側のベランダ程度の広さの庭には,どういう訳かフキが生えていた.誰かが移植したのかどうか定かではないが,雪の下その他,食用にできる野草が色々あった.
冬の終わりにはフキの搭が姿を見せるが,子供の口に合う代物ではなく,親も好みではなかったのか,食卓に上ることはなかった.がそこのフキは毎年結構食わされたものだ.伸びても 50センチ程度のものだったので,実は食べやすい方だったのかも知れないが,小学生にしてみればやたら口に苦く美味しいと思えるものではなかった.
それが30歳以降になると,この時期妙に食べたくなる食材の一つ.ただし一束買って煮付けると,それこそ一週間食べ続けるはめになり,ちょっと困ったイベントの一つになっている.もっともフキというと,昔は春先しかお目にかからなかったものだが,今では殆ど1年中スーパーにあり,食べたくなる時期は極僅かなのでやや不思議な感覚で通りすぎることの方が多い.この沖縄でもフキが出回るのだろうか?
その他春と言うと,鶴見川や東横線の土手にツクシやノビル採りに連れて行かれ,田植え前の時期には芹採りに連れて行かれた.子供心には遊びの一環なのだが,取ったモノがその当時は殆ど美味しいと思えるものではなかった.今となってはなかなかゼイタクな食材になってしまい,芹なんか最高なのだが.