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映画「トップガン」でも後方気流に巻き込まれるてのが重要なシーンとして使われてた.この記事見るとオスプレイに関しては後付けで訓練不足のような説明されてるけど,フライトコンピュータとの関連も有って,果たしてパイロットがどこまで対応可能なのか.
【米ワシントン30日=松堂秀樹本紙特派員】米国防総省は30日、6月に南部フロリダ州で発生した空軍仕様の垂直離着陸輸送機オスプレイの墜落事故について、前方を飛んでいた別のオスプレイから受ける気流に誤って巻き込まれた事故機の操縦士らの人為ミスだったとする報告書を発表した。一方、前方の機体の気流に巻き込まれた場合の対応策が存在せず、模擬操縦装置(シミュレーター)でも前方機の気流を想定した訓練が再現できない不備があるため、操縦士がこうした事態に対応できないとして改善を求めた。
通常のヘリと違い、オスプレイは回転翼を前方に傾けることで強い後方気流を発生させるが、前方機からの後方気流を想定した訓練が徹底されていないことに加え、後方気流に巻き込まれて機体の制御を失った場合は回復手順がなく、墜落の危険性が高いことが浮き彫りになった。4月のモロッコでの墜落事故に続き、機体の不具合や危険性を否定し、「人為ミス」と結論付けた国防総省は「次の段階へ向け日本政府とともに取り組む」とする声明を発表。米軍普天間飛行場へのオスプレイ配備をめぐり、防衛省の分析評価チームに「機体に問題はない」と説明した。10月からの普天間での本格運用を目指す考え。
報告書によると、事故機は別の1機と編隊を組んで飛行中に旋回したが、その際に、操縦士と副操縦士が前方機の高度が下がってきたのに気付かず、危険とされている前方機の真後ろの位置に入った。そのため、前方機の後方乱気流に巻き込まれてバランスを崩して墜落したとし、人為ミスによる事故と結論付けた。
報告書は空軍仕様のオスプレイへの懸念も記載。(1)回転翼が転換モードの際の適切な機体位置に関する指示が不足(2)想定している後方気流のモデルが、前方機との安全な距離を図るのに不十分(3)模擬操縦装置が後方乱気流を再現できない(4)後方乱気流に入った際に機体のバランスを回復させる公式な手引書がない−と指摘し、改善を求めた。
国防総省は日本側への説明で「訓練を通じ現場で報告書の内容を共有する」と伝えた。説明を受けた黒江哲郎防衛政策局次長は「報告書を時間をかけて分析する過程が必要だ」と述べ、日本側で分析した上で地元に説明する考えを示した。
ところがそもそも運用でカバーできる問題ではないと,とっくに分かっていたと(次々情報出てくるんでまとめて整理して記事にしてくれって気もするけど仕方無いか).
「報告書 機体欠陥隠す」 米元分析官、反論(見出しに元記事のリンク)
【平安名純代・米国特約記者】垂直離着陸輸送機オスプレイの開発経緯に詳しい米国防分析研究所(IDA)元主任分析官のアーサー・リボロ氏(68)=バージニア州在住=は2日、米国防総省が6月のフロリダ墜落事故の原因を「人為的ミス」と結論づけた点について「原因は明らかに機体の構造にある」と反論し、報告書は「深刻な設計上の欠陥を隠すために事実をゆがめたものだ」と批判した。米軍は再発防止策として操縦士らの指導強化を挙げているが「機体構造が変わらない限り、同様の事故は再発する」と述べ、普天間飛行場への配備に警鐘を鳴らしている。
米空軍は、事故原因を、前方機から生じる乱気流に後方機が巻き込まれる可能性があるため一定距離を保って危険性を回避する必要があるなどと定めた規約に、操縦士らが従わなかったためなどと結論づけた。
リボロ氏は、本紙に寄せた書面で、複数機での編隊飛行中に生じうる深刻な安全性への懸念は「1996年に操縦士らから問題提起されていた」と指摘。
自身も試験飛行中に問題を認識したが、コストとスケジュールを最優先させる海兵隊と製造元ベル・ボーイング社側が「懸念は誇張されたものにすぎない」などと主張。再評価は中止された。
しかし、2000年にアリゾナ州マラナで起きた墜落事故で問題が再浮上。IDAは世界トップクラスの回転翼航空機の科学者を起用し、再び原因の解明にあたった。リボロ氏は「当時の調査でこの現象が機体構造に起因していることが明確化した。国防総省・試験評価局(DOT&E)は、具体的改善策などを模索するために再評価の実施を求める報告書を同年6月に提出。しかし、18カ月後に軍側が不要と判断した」と説明した。
そのため、空軍仕様の飛行手順書は、最低限の情報のみの記述にとどめられ、危険な状況に陥った場合の具体的回避方法などは盛り込まれなかったという。リボロ氏は「報告書はオスプレイ配備を進めたい軍側などの政治情勢などに基づくものだ」と提起した。