自分達の生命を守るためなら,2億円程度の出費に文句を言う国民は殆どいないんぢゃ? 少なくとも優先順位は低いと思うが.この記事は全頭検査をそれこそ全否定して,何となく欧米の牛こそ安全であるかのような印象を与える(そういう意図が有る?).
感染牛が計100万頭以上も発生した西欧諸国でさえ、全頭検査は実施していない。検査をしても感染牛の一部しか見つからないからだ。
これに対し、日本では当時の農林水産相らが「全頭検査は世界一厳しい検査だ。これで安全」と説明したため、国民は「全頭検査で安全が確保される」と信じてしまった。
では、何が安全性の対策かといえば、主に危険部位の除去と飼料規制だ。日本の食肉処理場でも危険部位を除去しているが、気がかりなのがピッシングと危険部位の舌扁桃だ。
ピッシングは牛が暴れないよう頭部にワイヤ状の器具を差し込み、脳組織を破壊する作業だ。もし感染牛にワイヤを差し込むと異常プリオンが血液に流れ、肉を汚染する可能性があるため、欧米では絶対禁止となっているが、日本ではいまだに半分近い処理場が実施している。
舌の奥にある扁桃は、欧米では切除法を決めて大幅に切除しているが、牛舌を食べる習慣のある日本では統一した切除法がなく、どこまできっちりと除去されているかは不明だ。危険部位の背骨とその神経組織も食肉処理場の外まで流通しているが、どこでどう廃棄されているかの実態報告はない。こういう肝心な点の議論がおろそかにされてきたのは、全頭検査への過信があったからだ。
現在、国内では年間約125万頭の牛が検査され、うち20カ月以下の牛は約16万頭だ。検査費用の補助金として推定で年間約2億円を支出してきた厚労省もついに「もはや貴重な税金を効果のない対策に使うわけにはいかない」と補助打ち切りを決めた。
引用箇所の前で指摘されてるけど,検査方法に問題が有るならそれを改善して,現状では四分の一(それだけでも排除できれば何もしないよりマシ)だという検出精度を高めることが必要なはずだ.『特定危険部位(の定義自体も難しいが)の除去と検査(両方が徹底されなければ意味がない)』というのは間違ってない.でもって国内牛だけでなく全世界の食用牛について,危険な飼料の排除とこの二つが徹底されなきゃ,危険は除去できないってことだ.
なワケで現状では牛肉を全否定しない限り,ロシアンルーレットを続けてるのと同じってことだ.しかし牛タンもハイリスク部位だとは知らなかったな.