音楽に関しちゃ悪名高い JASRAC が使用料を取り立てて,一応クリエーターに分配してる(割合や根拠が不透明だ)けど,音楽以外の使用料の徴収・分配(扱い)ってのはどうなってるんだろう? 古い映画を放送したり上映したりすんのに,実際の製作者にお金が回るとは思えない.版権持ってる会社と,使用期間なり回数なりで幾らと契約するだけだろうし.
「著作権保護」は既得権益を守るための便利な口実
(略)
池田 映画については一足先に著作権法が改正されました。2003年12月31日までは「公開後50年」が保護期間でしたが、2004年1月1日から「公開後70年」に延長されたのです。法改正ぎりぎりのタイミングで著作権が切れたのは1953年に公開された作品で、例えばオードリー・ヘップバーンが主演した「ローマの休日」がそれに当たります。著作権が切れたということで、500円くらいの廉価版DVDが販売されるようになりました。ところが、版権元の米映画会社パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションが、これに異議を唱えた。細かいことは省きますが、「ローマの休日」の著作権はぎりぎりで生きていて、あと20年間保護されるべきだと主張したのです。昨年、東京地裁はパラマウント側の申し立てを退ける決定を下したのですが、仮に裁判所がパラマウントの主張を認めたとしたらどうなるのか。
500円の廉価版を販売している業者は、販売が禁じられるでしょう。500円で売り出したということは、その価格でも利益が出せるということです。パラマウントが販売している正式版はその何倍もの価格で売られていますから、著作権の延長は第一義的にパラマウントの利益を確保することに直結します。
また、著作権保護期間を延長することはクリエーターのインセンティブになるという意見がありますが、「ローマの休日」にかかわった人たちはほとんど亡くなっているわけですから、遺族に多少の著作権料が支払われたとしても、亡くなってしまった俳優やアーティストの意欲を高めることにはなるはずもない。これから制作される作品について著作権を延長するのならともかく、過去の作品の著作権を延長しても、世の中にとって意味のあるインセンティブにはならない。
「著作権」は新規参入を拒むための便利な口実
NBO 著作権の延長の目的は、仲介者である映画会社の利益を守ることにしかならないということですか。
池田 その通りです。そして、コピーワンスに関しても同じような構造が透けて見えてきます。デジタル番組のコピーを制限することで守られるのは、テレビ局や映画会社の利益であって、テレビ番組を実際に作ったプロダクションなんかにはお金は行きっこない。
「発掘!あるある大事典II」の騒ぎで僕がびっくりしたのは、番組制作費3200万円のうち、下請け、孫請けのところには860万円しか支払われていなかったという事実です。大半のお金は放送局が中間搾取していて、現場のクリエーターには回っていなかった。コピーワンスが守ろうとしているのは、現場の著作者の権利ではなくて放送局の“搾取権”なんです。