東南アジア各地には辛い食文化が根付いている国が多い.辛味好きではないってぇとカンボジア,ベトナムあたり?(ここらは行ったことないんで良く分からないけど) 中国では特に四川が有名だし,韓国もそうだ.前に書いたけど,暑い国では発汗を促すために食べる習慣がある.
ところが日本ではすっかり四川料理=辛いってイメージが定着しちまってるけど,実際には四川料理の中で辛い料理は歴史的には比較的新しい(防腐殺菌効果を期待した)もので,四川料理全体からすれば別に多数派でも無いらしい.中国内の他地域の料理と差別化するための,対外的なイメージ戦略(日本向けかどうかは不明だけど)によるところも有るみたいだ.
唐辛子の伝わったルートは,中国->日本->朝鮮と思い勝ちだけど,実はこれが違って日本より中国の方が後なんだと.
スペイン(15世紀末コロンブス)
V
日本(16世紀半ばポルトガルから?)
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朝鮮(秀吉時代)
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中国(明代末=17世紀半ば.但し四川地域には19世紀末)
唐辛子が定着した背景には,気候とは別に「肉食」文化もあるとされる.しかしおかしな事に日朝中は同じく仏教の影響を強く受けながら,唐辛子料理が発生しなかったのは日本だけだ.というワケで彼我の肉食の歴史も調べてみた.
- 中国での肉食禁止は,僧侶にしか定着しなかった(そもそも仏教では自ら殺すことだけを禁じてたって云うからな).
- 朝鮮では新羅時代に肉食禁止が徹底されるに至ったものの,「蒙古」支配によって解禁されそのままに.
- 大和では早くから肉食が禁じられ(7,8 世紀と二度禁止令が出された),その後一般化したのは明治に入ってから.
- 沖縄は 17 世紀になって牛食を禁じられたが,肉食はずっと続いた.
こうして見ると,日朝中のうち大和のみ唐辛子が浸透しなかった事実と符合する.しかし何故か沖縄だけ矛盾してる(笑) 沖縄にいつ頃唐辛子が伝わったか(伝わらなかったのか),島唐辛子の起源がどこにあるのかは謎.