どうも「無能の人」です.時代に取り残された,石屋の元漫画家の話です.
殆ど脈略がないダラダラ感は同じだけど,サヨナラ COLOR (2004) で感じたような違和感が無かった.映画の冒頭に有り勝ちの掴みみたいなものも特に無く(あえて冒頭をモノクロで始めたことくらいだけど),淡々とした展開ながら退屈するでもなく,のめり込むでもなく...
何と言うのか良くあるパターンでは,普通なら家族3人が大もめしそうなのに,お互いの優しさが際立つ感じ.妻役の風吹さんも怖い(何か後姿がやたら多い)けど,どうしようもない旦那に文句は言いつつも,決して追い詰めるようなことはせず,嫌味を言いつつも相手を傷つけたりヒステリックな感じが無いのが良い.現実と向いきれない言い分を批判しながらも,旦那の気持ちは何と無く理解してるっていう,どう考えても良き配偶者を得なさいョと言わんばかりに見える仕上がりになってる.
たぶん「サヨナラ」の場合は,主人公の現実離れしたもの凄い拘りとかノメリコミが勝り過ぎた所為(そっちがメインテーマ)だと思うけど,日常的な流れと,「自分」から見える流れとのギャップというか,それなら最初から視線をもっとどっちかに置いといてくれってな感じだったけど,主人公の熱さとそれ以外の緩い感じが,全体的にイマイチおりあってない様に感じられた.そこを原田知世って女優が,何というか夢と現実の間を結びつけてる存在というか,彼女があって成立してるって感じだった.
半端なキャラが色々登場するのは同じで(こっちの方が結構キツイけど),ある意味「流して見られる」のと全体を邪魔してない感じは,本作の方が勝ってると思う.芯がなくなりそうなとこを,実は支えてるのが女優(この場合は風吹ジュン)ってとこは共通だと思うけど.
殆ど笑い(泣き)所は無いけど,苦労して見つけた石を漬物石にしちまってたとこはクスリ. 何だか知らないけど,毎度駄目な父親を迎えに来る息子が良い感じで,どってことないシーンながらラストの三人で土手の道を帰る姿にはかなり感激しちまった.
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